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羽毛ふとんの歴史

by 中西恵美子 on October 19, 2021
羽毛ふとん

歴史的に日本は寝ると言う文化についてはかなり貧相でした。 少し日本の寝具の歴史に触れますと、もともとタタミは敷き寝具の呼び名でした。
平安時代の寝殿造りによって、建物内全体にタタミが敷きつめられるようになり建物じたいが大きなベッドとなりました。タタミに直接裸で寝て昼間に着ている着物を上から掛けるのが一般的でした。

江戸時代になると、掛け寝具=夜具(やぐ)=夜着とも言われ昼に着ていたものでなく夜用の綿入着物が主流、敷き寝具=蒲団・フトンと呼ばれるようになり、素材は主に綿が使われました。しかし、タタミ、夜具・蒲団は富裕層の寝具であり、貧困層は、明治時代までムシロで寝ていて、明治になって、木綿の蒲団が一般的になりました。

これは綿が14世紀ごろにワタが伝来し米と並んで商品作物として経済の活性化に貢献した為、綿花栽培は発展を続け、多湿の日本に適した素材でありまた手に入りやすかったことから庶民から貴族まで気軽に愛用する素材となりました。

(参考までに、明治時代に綿花の輸入関税撤廃により、国内の栽培地はほぼ消滅致しました。)

羽毛布団の普及について

さて本題の羽毛ふとんですが、日本繊維新聞社の記事によると 羽毛布団の現在の普及率は、安価なものから高級品までを含めると、「104.4%!」
一人1枚以上の枚数が普及している計算になります。

おおよそ35~40年前から急速に広まりましたが、これだけ蔓延しても正しい知識は広まっていません。

羽毛ふとんは、ノルウェー王侯貴族や海賊『バイキング』にも使用されていた

羽毛ふとんはノルウェー王侯貴族、海賊であったバイキングたちの墓にも羽毛布団が埋葬されていたそうです。バイキングたちは、7世紀頃から活動しているので、羽毛布団はその頃から存在していたといえるでしょう。

中世に入り、さらに羽毛布団は普及していくのですが、高価だったので庶民の手にはなかなか渡らなかったとも言われていますが、ただガチョウをたくさん飼っていた農家では羽毛布団が使われていたとの記録もあります。

この事からもわかるように、もともとヨーロッパでは食肉にする鳥の副産物としてその毛をふとんにしていました。

手作業から機械化生産される羽毛ふとん

18世紀末の産業革命で、手作業から機械化へと進み、羽毛布団の生産も機械化されるようになり、大量に市場に出回るようになるまでは羽毛のためでなく、食用に育てられていて羽毛の量も質も乏しかったと推測されます。

羽毛ふとんの中素材について

現在羽毛ふとんとして一般的に販売されているものの中味は、大きく分けて3つになります。ダック、グース、アイダーダックに分けられます。

ダック、グース

一般的に羽毛ふとんと言って認識が多いのが、ダックとグースです。
安い羽毛ふとんの代名詞、ダックダウンの原産国は主に中国で一部フランスもあります。

北京ダック・高級食材フォアグラ、要はダックについては食用の鳥の副産物である羽毛を廃棄する代わりに洗い、ふとんに仕 立てると言っても過言ではありません。安価ではありますが食用に育てるため、孵化してから運動もできず不潔な小屋の中で食べ続け、一定の大きさになれば食用になる。その鳥から取れる羽毛の素材は不潔で羽毛自体にパワーが無いので、すぐにヘタってしまいます。

良い羽毛のポイント

羽毛のパワーについて

羽毛の素材の良し悪しを決めるポイントはたくさんありますが、最重要ポイントとして嵩高性があります。

さきほどパワーが無いと申し上げた、パワーの事を嵩高性で表します。良い嵩高をもった羽毛を得るためには鳥の血統・孵化してからの環境・採毛してからの洗いの行程と全てに係わってきます。

一般的にグースの方がダックより大柄である事と綿毛=羽毛の密度が濃い事から高品質=パワーがあるとされています。

良いグースダウンを得るためには、自由に行き来できる十分な土地(砂地)草地・湖と清潔な小屋が必要です。鳥はもともと臆病で綺麗好きなので、放し飼いしても逃げる事はなく、自ら進んで湖で毛づくろいをしますので清潔に保たれます。
また、土地の湿度は低く、冬寒く、昼夜の気温差が激しい場所が大変適していると言われます。

その環境で育った鳥の綿毛を年約3回採りますが、冬支度に向けて生えてくる秋の綿毛が最高とされています。
羽毛を傷めないようにそっと手で摘み、手間暇をかけて水質のよい土地でゆっくりと洗います。

洗いについては専門性が増すので簡単に省略しますが、洗いの水質や温度、時間によって大きく差がでます。

こうして手間暇かかり出来上がった羽毛を嵩高性によって品質分けしていきます。
これは同量の羽毛を筒に入れた場合に何cmの高さが得られるかで品質が分れます。羽毛ふとんの保温性とは綿毛の毛先で作りだす空気の層が温まる事で発揮されるので、少ない量でよく膨らむ羽毛に価値があります。

羽毛ふとんのダウン率

もう一つ確認したいのがダウン率です、羽毛と羽根の混率です。

日本では羽毛ふとんと羽根ふとんを同じものとして混同して使いがちです。
基本的に羽毛が50%を超えると羽毛ふとん、羽根が50%を超えると羽根ふとんと呼びます。

これは綿毛の品質を左右する点ではないですが、羽根には先に述べた嵩高性はなく、混率が多いと重くなり、ガサガサするので最低でも羽毛90%以上、できれは95%の方が無難です。

ここまでご理解いただいた内容として、

いい羽毛=軽い=少ない量で膨らむ

膨らむと言う点で、さらに高品質になると嵩高はあっても膨らまない羽毛(=スティッキーダウン)もあります。

こちらは、1粒の綿毛の足が長い為、1粒1粒の綿毛がお互いに絡まりあい、羽毛のパワーは充分ありながら、膨らみは少ないものになります。

保温性を保ちながら、膨らみをなくするメリットとしてはドレープ性が増す事です。これにはまず大型のグースを育てる必要があり、現状ではポーランドマズーリ―地方やロシアなど一部の地域で実現しています。

通常の平均的なグースが4-5kgに対して、これらのグースは約10kgです。
また採毛の回数を減らし、1つの粒をより長くの時間をかけて大きく育てる技術となります。

アイダーダックについて

このような研究が進められている背景には「アイダーダック」の存在があります。

アイダーダックは北極圏に住む渡り鳥です。
1849年にアイダー捕獲禁止令がでるまではアイスランドでも食用として捕獲、羽毛は採取されていましたが、アイダー鴨が激減した影響で国際保護鳥に指定され、捕獲は禁止となりました。ついには採毛についても1870年に禁止され、人が飼育することも同じく禁止されています。

アイダーダックの羽毛は大変特徴がありアイスランドでは、1836年に公の機関として、アイダーダウン研究所が設立され、捕獲や採毛、品質、輸出規制について管理監督しています。

この特殊な羽毛の特徴として、パワーが強い事は当然ですが綿毛の密度が濃く、その細い足先には無数の鍵状の産毛が存在します。この繊細な産毛が羽毛を強く結びつけ絡まり合わせます。

人間が飼育・捕獲できない現状ですが、母鳥が極寒の地で卵を孵化させる為に、巣に綿毛を敷き詰める習慣があります。その使い終わった巣から人間が羽毛を集めます。

アイダーダックの特徴

アイダーは暑がりな人が寝汗をかかず、寒がりなひとでも1枚で快温で使える不思議なパワーのある羽毛です。

とても限られた量しか取れないのに、人気が高いので価格は天井知らずゆえに人的にアイダーに近い羽毛を作ろうと、先ほどふれたスティッキーダウンを開発しています。

もちろんその性能はアイダーにはまだまだ及ばないまでも、発展をしています。

まとめ

一口に羽毛と言いましても様々な種類や特徴があり、金額があり、大変わかりにくい業界です。

ゆえに詐欺などの被害もいまだに続いています。
もともと睡眠の質や状況にこころを砕かなかった国民性ではありますが、やはり、人間にとって不可欠な睡眠ですので、より質のいい、また自身に合った睡眠環境を作って頂きたいと願います。

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